MITRAのココロ

透明感のあるアート

毎朝出勤したらお掃除をし終わると
職場に置いてある日経新聞を見るのが日課になっています。
3/2の新聞の文化欄にある作家さんのことが取り上げられていました。

阿部幸子さん・・・
「紙を切り続けるアート」と題されたその内容とは
A4コピー用紙とハサミを手に持ち1ミリほどの幅を保ちながら
外周から薄皮をむくように切り続ける。
1枚を切り終えるのに40分。
切ってできる「紙の糸」の長さは4メートルを超える。
~日経新聞より~

なんと1枚の紙を細く細く切り続けるアートなのです。

経歴は美術関係とは程遠く、高校卒業後、先生の勧めた進路が自衛隊。
4年間所属するも無理が蓄積し訓練中に意識を失い入院。
半年に及ぶ入院中にこの紙を切る行為を始めたのだそうです。

この紙を切り続けるという行為は日記を書くのと同じで
毎晩10時間紙を切りながら出来事をつぶやき始めると
1日が整理できるのだそうです。

その後北九州でギャラリー関係のお仕事につきそこから
芸術家としての何かが芽生えていったようで
いろいろなパフォーマンスをされていたようですが
作品に行き詰まったようでそれでも黙々とこの紙を切るという行為は
日常的に行われていてある朝この切った紙の固まりを持ち上げてみると
「なんと美しいのだろう」と感じたそうで
そこでその切る行為自身を作品にしてみようと思われたようです。

新聞に載っていた写真は白黒で小さいものでしたが
真っ白な紙でできた雲の中で女性が一人その雲を紡いでいってるような
透明感がなんとなく想像できました。

実際に観てみたいなと思いました。
せめてカラーの写真がどこかに載っていないか
検索してみるとあまりにも情報量が少なくなかなかヒットしません。
海外で活躍されているようなので海外のギャラリーの情報などは
いくつか出てくるのですが・・・
同じように情報を探しているという方のブログなどはいくつかヒットしました。
みなこの作品にとても惹かれるものがあるようです。
唯一、カラーの写真を見つけたのでお借りしてきました。

ファイル 43-1.jpg

~「すばる文学カフェ」より~

この行為が怖いと感じる方もいるようです。
切り続けるという行為が私たちがいう日常的とはあまりにも
かけ離れているからでしょうか。
この切る行為自身がこの女性の「生きているという実感」を
映し出しているのかもしれない。
そしてこの「紙の糸」は彼女の声そのものだとしたら
その重みが、ある意味「怖さ」を感じさせるところなのかもしれない。

でも私はこの切なくも感じられる透明感のあるアートを
一度観てみたいと思いました。
実際に観るとどう感じるんだろうな~